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ヤクルトが延長の末にサヨナラ勝ちした14日の西武戦(神宮)は、「超」のつく総力戦。ベンチの野手を使い果たし、最後は投手を代打に送る用意までしていた。緊急事態にヤクルトベンチはどう動いていたのか。
同点の11回。ヤクルトがサヨナラのチャンスを広げるにつれ、記者席のざわめきは大きくなっていった。3番には10回から守護神・林が入っていたが、すでにベンチには野手が残っておらず、「誰が打席に入るのか」が焦点になったからだ。
ヤクルト首脳陣の判断は、林ではなくブルペンに残る中継ぎの2人から代打を送ることだった。ブルペンに緊急の電話が入り、コーチが「どっちが打撃が得意なんだ?」と尋ねた。新人の久古は高校時代から下位を打っており「自信がない」。指名打者制のパ・リーグから昨季移籍してきた渡辺は、実は「高校時代は野手もやっていた」ため、白羽の矢が立った。
9回1死満塁。2番田中が打席に向かうと、久古に「頑張って下さい」と送り出された渡辺が、バットを手にネクストバッターサークルへ。だが田中がサヨナラ犠飛で試合を決めたため、渡辺が「楽しみだった」という新人時代の2005年以来、6年ぶりの打席は幻に終わった。
ヤクルトベンチが歓喜にわく中で、小川監督は出番がなかった渡辺の肩を叩き労をねぎらった。
序盤の5点差を、小刻みな継投と積極的な代打・代走策でひっくり返す会心の勝利にも、小川監督は「僕が悪い。選手を使いすぎてしまった」と反省を口にした。
「想定していなかったので痛かった」と振り返ったのは、9回の3番ホワイトセルの退場だ。土壇場で2番田中が同点に追いつき、なお二、三塁。一打でサヨナラという場面で、ホワイトセルは球審の判定を不服として禁断の4文字言葉を浴びせて退場処分に。打席の途中で控え捕手の福川を代打に送った時点で、ベンチの野手を使い切ってしまったのだ。
それでも延長戦で勝ちを拾い、「こういう試合は大きい。改めて選手に感謝です」と小川監督。持てるコマを最大限に使い切る名采配と常に謙虚な気配りで、セ首位を堅持している。(笹森倫)
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阪神は14日の日本ハム戦(甲子園)で関本賢太郎内野手(32)が9回に値千金の中前打を放ち、サヨナラ勝ち。この日も相手先発・武田勝の前に8イニング0行進で、昨年のような打線の迫力はどこかへ消え去ったものの、投打の総合力では他球団をしのぎ、ここから追い上げの可能性も十分だ。
この日は9回表まで0−0の投手戦で試合時間は2時間25分と、8時半前に試合が終わった。まるで昭和40年代以前の投高打低の野球が現代に蘇ってきたかのようだ。
この日サヨナラ打を放った関本がセカンドで先発起用されるようになったのは、得点力に乏しい打線のテコ入れ策。セカンドのレギュラーだった平野をセンターに回してまで関本を使っているほどだから、攻撃面での苦労の程が分かる。
ただ一方で「平成のダイナマイト打線」と呼ばれた昨季と比べ、打てなくなったと指摘されている割には、打率・313のマートンを筆頭に、平野が・299、新井が・284と、シーズン3割クリアの圏内にいる選手が3人もいる。中日や巨人、広島と比べれば、悲観視されることはないともいえる。
昨年は平野(・350)、マートン(・349)、新井(・311)、城島(・303)、鳥谷(・301)と、5人も3割打者を輩出。今年は昨年と同じ5人とまではいかないまでも3人がクリアならなかなかのもの。打ち勝つ野球はできなくなったものの、打線の弱体化が急速に進んでいるわけではけっしてなく、反発力を抑えた新ボール採用の影響が自然に出ているものいえる。
評論家の太田幸司氏は「飛ばないボール」採用に肯定派で、「昔、僕が近鉄で現役でやっていた時(1979年)にも、使用球が飛ばない久保田製から、飛ぶミズノのボールに変わって、野球が全く変わっちゃったんだ。それまでリーグ全体で一握りだった3割打者が、1チームに何人も出てきた。阪神の打線は去年と比べておとなしくなったが、1チームで3人も4人も3割超えてること自体が異常なことなんやから、これぐらいでちょうどいいんやって。どうやって投手を崩して点を取るか、というところが面白いんだから」という。
今季は防御率2点台の投手がゴロゴロいた40年前の野球に回帰。チームの優劣を決めるのは、この日、岩田が11奪三振の好投で今季初完封勝利を挙げたように、先発投手の我慢比べにかかっているのかもしれない。
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